【3】資料収集・保管の経緯
「八代・坂田家資料」は、八代市植柳下町の坂田家で長年にわたり保管されてきたものです。しかし、保管していた家屋や蔵などの傷みが年々ひどくなり、さらに平成16(2004)年1月に道太が死去後、坂田家単独で数多くの資料類を維持・管理がすることが不可能となってきました。
「八代・坂田家資料」には国の政治や八代市の政治などの資料以外にも、干拓を作る時に関連する資料や、文化や民俗といった、さまざまな分野にわたるものなど、各分野における貴重な資料も含まれている可能性がありました。そのため、早急にきちんとした施設などへ移して、整理・調査・研究を進めることが必要ということになりました。
宮嶋利治学術財団では、平成20(2008)年12月に坂田家を訪問し、所蔵されていた古文書や古記録類、道具類などの収集作業を行いました。ただ、これより以前の同じ年の2月、国立国会図書館の憲政資料室が「坂田道太」に関係する資料の調査・収集作業に入っていました。特に、国の政治に関連する重要な資料(道太が大臣を務めていた頃の資料)などが収集されています。
一方、坂田家には道男が旧制第五高等学校(現在の熊本大学)教授時代の大正9(1920)年から大正11(1922)年の約2ヶ年かけて欧州留学をした際、ドイツで購入したピアノ(ドイツ・シュタイングレーバー&ゼーネ社製造)が保管されていました。傷みがひどかったため、修復作業を経て、平成25(2013)年3月に坂田家から宮嶋利治学術財団へ寄贈されました。このピアノは貴重な歴史の資料でもあり、宮嶋利治学術財団では専門の調律師にメンテナンス作業を依頼するなどして、その維持・管理に努めています。【写真・道男がドイツで購入したピアノ。このピアノには左右に蝋燭(ろうそく)を立てるための台がついている】
また、坂田家には道男が戦前から約44年間(戦時中と戦後しばらくは中断)にわたって読んでいた「ロンドン・タイムズ」が所蔵されていましたが、こちらは平成11(1999)年12月に、熊本日日新聞社の新聞博物館へ寄贈されました。